途方に暮れなずむ

途方に暮れていたり、いなかったり。

大人のふて寝

入浴中、耳に水が入る。

じっとしていればそれほど気にならないが、頭を動かすと何やらぞわぞわと不快な感じがする。

寝る段になって、不届きものめ、観念せい!とばかりに横を向いてとんとんと頭を振ってみるも、一向に出てくる気配はない。綿棒で吸い取る作戦も徒労に終わる。いい加減腹が立ってくる。耳介を引っ張って穴を広げつつ、いまだかつてないほどに頭を激しく振りまくるうちに、いつしかほぼ全身運動に切り替わり、ふと、この行動が何かに似ていることに気づく。何だろう、これは。不快なぞわぞわと、思い出せないもやもやの二重苦。どっちかひとつだけでも、とりあえず解決したい。神様。

そばで苦しんでいる私を見ようともしない中くらいの人に軽い怒りを感じかけたその時、ひらめいた。これは・・・おっぱっぴー。半ば自暴自棄になり、藁にもすがる思いで「そんなの関係ねぇ!」と(小さく)連呼しつつ、一層激しく頭を振りながら、少しずつ距離を詰めてみる。あなたが幼い頃に好きだったおっぱっぴーだよ、いま、何故かそれを再現しながら私は苦しんでいるのだよ、助けてよ、このままだと首がどうにかなってしまうよ、と恨めしげに中くらいの人に視線を投げかける。すると、どうだろう、彼は私に一切構うことなく、しれっとスマホをいじっている。さらには、そんな私に背中を向けようとするではないか。無駄にぐわんぐわんする頭。心待ちにしている、あの温かく、ぬるっと出てくる感覚は訪れない。かわりに、目から温かい何かが。違う違う、そうじゃそうじゃない。

すっかり疲れたので、寝ることにする。眠っているあいだに排水されることを祈る。