途方に暮れなずむ

途方に暮れていたり、いなかったり。

猪熊デザイン

中くらいの人は、物との巡り合わせが悪い。

幼稚園の時、皆で植えたチューリップは中くらいの人のだけ咲かなかった。

小学校の修学旅行で絵付けした湯呑みは、見事なまでに粉々の姿で届いた。

下ろしたての靴が、その日のうちに壊れたことが2回ぐらいある(通常、靴に対して壊れるという言葉は使わないような気もするが、それ以外に言い表しようのない状況が繰り広げられる)。

数年前に買ったペンケースは、ジッパーのレールのような部品が一部脱落していた。購入時にちゃんとスムーズに開け閉めできるか試したものの、最後の最後で奥にある商品の方がきれいなのではないかと思い、それを買ったのだと言う(本人談)。

シャーペンを使えば、面白いぐらいにバキバキと芯が折れまくるので、ひと月に2回ぐらい買いに行く(これは、巡り合わせ云々というより、中くらいの人がちょっとアレなだけ)。ちなみに、私自身はシャーペンの芯を買って使い切った記憶がない。

いま頭にぱっと思い浮かぶのはこんなところだが、もっともっとあるはずなのだ。出てきそうで出て来ず、もやもやすることこの上なし。

 

今日、そんな中くらいの人のエピソードがまたひとつ増えた。Amazonで購入した革製のペンケースを開封してみたところ、内側にあたる床面全体に茶色い汚れのようなものが。そのあまりにも堂々とした様子たるや、猪熊弦一郎デザインの三越の包装紙と見紛うほど。天然のものではあるし・・・と一旦受け入れかけたが、とりあえず商品ページの写真と見比べてみることに。全然違う。こんな模様入ってない。

ということで、はじめての返品手続き。よくわからないが、明日配送業者が集配に来てくれるらしい。中くらいの人から渡されたバーコードの印刷された紙を提示すれば、あとは業者がうまいことやってくれるのかな。慣れないことを前に、おばさんは今からどきどきしている。

 

 

追記: スマホを見ながら髪をがしがし触るのが癖の中くらいの人。あとには、ほっそい抜け毛が散乱している。限りある資源。やめた方がいいと助言してもやめないので、もう知らない。私の祖父は20代で禿げた。その血が流れているのだ。ひょっとしたら、髪にも縁がないかも知れない。