途方に暮れなずむ

途方に暮れていたり、いなかったり。

悲喜交々 年度末編

初夏以来ご無沙汰していた友人と家飲み。

久々の再会に話題は尽きなかったが、知らない間に友人が手術を受けていたことには、びっくりさせられた。知り合って13年目になるだろうか。私たちももうそんな年頃なんだなあ。話す内容も、健康のこと、親のこと、子どもの進路のこと、などなど徐々に変わってきている。人から聞かされると「なんだそりゃ」だの「年寄りじみてるなあ」だのついつい自分と切り離して考えてしまうけれど、内省してみると、まあ実際そうなのである。以前と比べて、心身ともに草臥れることが多くなり、回復するにも時間がかかるようになった。ずばり、寄る年波には勝てない。

そんな流れの中で、送別会に2件参加した。大好きだった人を見送る会でもあったので、そのうち1件は真夜中過ぎまで大騒ぎ。終電を逃してタクシーで帰宅したのなんて一体いつぶりだっただろう。振り返ってみるも未だに謎のままだ。

今週末にも予定がひとつあったが、そちらの方は欠席させてもらうことにした。

 

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ペラルゴニウム・ミラビレ。たくさんの葉と花が飛び出しているのは、かりんとうみたいな小さな揷し木から。すごい生命力!

 

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アロカシア・ジャクリンには新たな葉が。今まで見た中で一番お行儀よい生まれ方をする葉。

目が眩む予定

この時期の自分が不安定であると自覚したのはいつ頃からだろう。もしかすると、20代前半かも知れないし、30代に入ってから、いや、それよりもうんと昔の10代の頃かも知れない。いずれにせよ、長患いであることに間違いない。

若い時分には、嵐が過ぎるのをただひたすらじっと待つことが許された。それが今や、そうもいかなくなって来ている。そこはかとない不安や嫌な予感を抱えつつも、動かないといけない場面が増えた。そして、私はそういったことを口にすることが困難な性分なのだ。しょうもないことや不適切なことをしれっと言うことはあっても、肝心なことはどうしても首の付け根のあたりで滞ってしまい、音声となって飛び出すことはない。

ここ数日の出来事をせめてここで吐き出そうと思ったけれど、やはりできそうにない。

 

そして、この時期は、普段ご無沙汰している人からの連絡が集中する時期でもある。先日も懐かしい人からのメッセージが届いていて、思わずスマホをそのまま手の届かないところに安置してしまった。結局は、数時間後に内容を確認して返信するのだけれど。

煩わしすぎて人に会う気分ではない、と言うのがまず一番はじめに心が示す正直なところ。そのうち、このままの状態が続くと本当に抜け出せなくなるんじゃないかという極めて人間らしい懸念が浮かぶ。他にも、せっかく声を掛けてくれているんだから、とか、もしかして相手も不安定で辛いんじゃなかろうか、とか、色々な考えが生まれてくる。そうして、たいていの場合(十中六七くらい)、あなぐらから足を踏み出すのだ。

そんなわけで、今月は3件ほど人と会う予定がある。きっと目が眩む。

 

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アロカシア・ジャクリンに新葉の予感。そういう面では、春も悪くないんだけれど。

薄味の運命

どれだけひっそりと暮らしていても、驚くような出来事というのは起こり得る。

普段、中くらいの人と二人で生活していて、運転技術はペーパードライバーに毛が生えた程度、その上すっかりステイ・ホーム癖がついてしまった私の行動範囲は知れている。

雨井さんと買い物に出かけた時のこと。ずらりと陳列した植物を見ていたら、お店の人が話しかけてきた。そして、顔を上げると、そこに知った顔があったのだった。例の、閉店してしまった洋服屋の元店長さんだった。

出会いは10年ほど前。異動やら何やらで付き合いは1年程度だったように記憶している。それでも、その数年後に思いもよらぬところで鉢合わせし、それが今回また起こったのだ。あまりに行く先々に現れるので、向こうからしたら、私たちはストーカーめいた存在に見えているかも知れない。少し不安にもなるが、正々堂々カミングアウトして(実は私はそのままやり過ごそうかと思ったが、雨井さんが最後の最後で打ち明けた)、昔話をして別れた。

元店長と雨井さんのベルトがお揃いで、無くなってしまったあのお店を思ってしんみりした。

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意外性

中くらいの人は勉強ができない。

そして、この度「留年するかも知れない人を対象とした補習」を受けるように言われたらしい。勉強ができないことは残念ではある。けれど、私が一番気の毒に思うのは、彼の外見も内面も揃ってくそ真面目であるということ。デキそうなのに実際デキない、というのは彼を苦しめ(てい)るだろうなあ、と思う。どうか腐ることなく生きてほしいと願う。

 

雨井さんからバレンタイン・デーのお返しに植物を貰った。ホワイト・デーは来月。完全にフライングである。しかも、予告までされていた。そういうところ、とても雨井さんらしくて、後で密かにトイレでむふふと笑ってしまった。

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ユーリキニア・カスタネア・スピラリスというらしい。スピラリス(螺旋の意)以外の部分については覚えられそうにない。柱サボテンの突然変異種のようだが、こんな見事なとぐろはソフトクリームかイラストのうんこ以外に見たことない。いや、カタツムリや貝ならあるか。観察しているうちに、意識がどこか遠いところに飛ばされてしまう何とも珍奇な植物である。

ちなみに、棘は螺旋の谷間にお行儀よく生えている。奇っ怪で破天荒でクレイジーなのに規律正しい。ギラウミニアナを初めてじっくり観察した時同様に感嘆し、完全に心を持っていかれた。

忘れ物注意月間

バレンタインから遅れること一週間。ようやく最後のチョコが私の元から旅立って行った。日頃お世話になりっぱなしの人にお渡しするべく用意していたが、体調不良とのことでなかなか会えずにいたのだった。ようやく、すっきり。

 

 

短いわりにイベントが多い2月。バレンタインの次は、とーさんとかーさんの誕生日がやってくる。あれこれてきぱきとこなせるタイプではないので、この時期は何か忘れ物をしそうでこわい。

去年は簡易マッサージ機をプレゼントした。さあ、今年は何にしよう。散々悩んだ結果、これといった候補がないのと、両親がぼちぼち生活の場を小さくすることを考えだしたのもあって、花を贈ることにした。

というわけで、仕事帰りに青山フラワーマーケットに寄ったところ、なんと閉店していた。嗚呼、ここにもさよならの妖精が。

しばし呆然としたのち、今日は果たすべき目的があったことを思い出し、頭の片隅に浮かんだ花屋さんへ向かった。並木通りを南下、路地に佇む小さなお店。以前からその存在は知っていたものの、なかなか入れずにいたのだった。勝手に抱いていた暗くひっそりとしたイメージとは異なり、アーティスティックな雰囲気の店主さんがとても親しみやすい方でありがたかった。アレンジメントの発送をお願いして帰宅。

 

 

小さな塊根植物、オトンナ・カカリオイデスにそれはそれは小さな蕾がついた。

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塊根から伸びる細いまち針のようなのが、それ。ちなみに塊根は皮革っぽい質感で、うっすらマーブル模様をしている。

個性葉

出勤時、駅の改札ゲートに阻まれる。窓口で駅員さんにプリペイドカードを差し出すと、昨日の運賃が未納になっているとのこと。たしかに、昨日、改札を通ろうとしたら、一瞬カードが変な反応を示したような記憶がある。ただ、通せんぼシステムが稼働することもなく、もうすでに通過してしまっていたので、深く考えず帰宅したのだった。そんなわけで、昨日の分を差し引いてもらった上で改札を抜けた。賢いな、改札。

 

 

暖かな日が続いている。家中の植物をベランダに大移動させるのも、もうそう遠くなさそうだ。植物たちにとっては、太陽光を浴び、風に吹かれ、時に雨に打たれ、ぐんぐん成長する季節の到来。

一方、室内の方はと言うと、一気に彩を失うことになる。この冬は落葉しなかった植物が多かったので尚更だ。忍び寄る寂しさの予感は、私の植欲を掻き立てる。以前から気になっていた観葉植物を買おうか、買うまいか。ここ数週間、ゆらゆら揺れる気持ちと向き合ってきた。そうして、観葉植物を2株ほど我が家に迎え入れることにした。

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↑ドット柄の葉がたまらないベゴニア・マクラータ。ちなみに、葉の裏側は赤色。眺めていて飽きることはない。

 

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↑特徴的な切れ込みの入った葉が目をひくアロカシア・ジャクリン。ワイルドな葉脈といい、色合いといい、その美しさは作り物かと疑ってしまうほど。葉に負けず劣らず、その茎もゾンビ・プランツを想起させる奇っ怪っぷり(写ってないけど)。

消えてなくなる

10年来付き合いのあった洋服店が閉店することになり、雨井さんと最後の買い物に出かけた。

最初は選択肢のひとつに過ぎなかったお店が、10年の間に、私たちにとっては唯一無二のお店になっていた。そんなわけで、正直、今後洋服はどこで買えばいいのかと悶々としている。ネットで買うこともできるが、経験上、たとえ好きなお店の洋服であっても実際着てみるとしっくりこないことが往々にしてあるのだ。困った。そんなことを思いながら、一足ずつ、半額以下になった靴を買った。嬉しいけれど、なんだか切ない。上等な靴なのにね。

 

雨井さんから東京出張のおみやげをもらった。その名もパンダバウム。型ぬきしながらパンダを食す。

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