途方に暮れなずむ

途方に暮れていたり、いなかったり。

ほとばしる爽快感

昔に比べて、目が悪くなった。眼鏡を作ってはいるが、ほとんどかけることはない。家にいてかけるとしたら、テレビの字幕が見えにくいとき。その程度。

洗面所にて、何か違和感を感じる。見えるはずなのに見えないものがあるのか、見えないはずなのに見えるものがあるのか。しばし辺りを観察する。すると、白い壁にところどころ極細のミミズ腫れがあり、鏡にも何やら白い線が走っている。よくよく見ると、化粧水やら横ちょの棚に収まっている洗剤の容器等にも。触るとねっとりしていて、匂うと意外にも爽快である。これは・・・歯磨き粉。しかし、何故、歯磨き粉が洗面所中に撒き散らされているのか。

混乱したまま、唯一の同居人である中くらいの人を出頭させると、ああ、なんだそのことですか、的なノリで歯磨き粉であることを認めた。「歯磨き粉が部屋中に撒き散らされているのは異常事態だと思うけど」と指摘すると、これまたしれっと、「歯磨き粉がさー、残り少なくってさー、出てこないからさー、振り回したんだよねー」と言う。しかも、「そのやり方、あなたが教えてくれたんだよ」だと。唖然。私は生まれてこのかた歯磨き粉を振り回したことはないし、ましてや洗面所中を歯磨き粉でデコレーションしたこともない。百万歩譲って私がそう進言したとして、蓋はきっちり閉めておけ。頭が痛い。世の中には、どうしても分かり合えない人間がいる。そして、不幸にもそれが極めて身近な人間の場合も。とりあえず、きれいにしておけと伝えて退場する。

 

以上のことが先週起こったのだ。

数日経った今も、何かを触ると、仕掛けられた歯磨き粉トラップが指を汚す。日を追うごとに粘度を増す歯磨き粉。中くらいの人は、私の何倍も目が悪い。何もかもきれいに拭い取ってくれるとは思わなかったが、これはいつまで続くのか。毎日トラップが、今は3日に一度トラップまで頻度を減らしてはいる。このまま順調に収束してくれれば良いが、忘れた頃に雨井さんが被害を被るのではないかとひやひやしている。誰が?張本人ではなく、私が。