途方に暮れなずむ

途方に暮れていたり、いなかったり。

散り散りになったり、くっついたりするもの

佐々木譲『ユニット』読了。

物語は、母子殺害事件(モデルとなっているのは、実際に起きた光市の事件)とDVを軸に繰り広げられる。17歳の少年に妻子を殺された真鍋と、警察官である夫からの暴力に耐えかねて幼い息子を連れて家を飛び出した祐子。とある出来事がきっかけで、二人は知り合い、同じ工務店で住み込みの仕事に就くことになる。そんな中、事件から7年が経ち、かつての少年が出所してきたことを知り・・・。

 

前半は、異なる場所で異なる苦しみを抱えてきた二人がどこでどう出会うのだろうかと読み進めた。

残忍な事件の犯人やDV夫ははっきり言って胸糞悪いが、罪を償って出所してからの再生のしづらさなども描かれていて、ニュースや記事では知り得ないその辺りについても考えさせられる。

作品全体を通して、かなり都合のいい展開であることは否めない。それでも、ハラハラドキドキは味わえる。