途方に暮れなずむ

途方に暮れていたり、いなかったり。

「デフォルトなの?」と問う君

私の終業時刻に合わせて、中くらいの人が駅までやって来た。

散髪やら買い物やら用事を済ませてから、食事をすることに。とは言え、超偏食人の中くらいの人と行けるのは、ステーキ屋、ハンバーグ屋、寿司屋といったところ。正直に言ってしまえば、全然心躍らないのである。こちらとしては。

ところが、どういう風の吹き回しか、中くらいの人が私のお気に入りのお好み焼き屋さんに行ってみたいと言い出した。少しだけ嫌な予感がしたが、気が変わらないうちにと店に向かった。

そのお店のお好み焼きは麺がパリパリなうえ、トッピングのチーズがちょっと凝っている。通常のとろけるチーズとは別に、鉄板の上でくるくるとロール状に巻かれたカリッカリの焦がしチーズがてっぺんにのるのだ。とろーりとカリッカリの相反する食感、クリーミーさと香ばしさの相反する味が渾然一体となって唯一無二。はじめて食べて以来、チーズは必ず注文するようにしている。

そんなわけで、私のお気に入りのお店には違いないのだが、ここのお店、接客がちょっとアレなのだ。そのあたりを気にせず、ただ食べることだけに集中すれば問題はない。ただ、多感で経験値が低くて平成生まれの中くらいの人には少々受け入れ難かったらしい。終始無言で、ピリッとした空気に耐えていた。まあ、今どき珍しいよね、こういうタイプのお店。

帰り道、味はどうだったかと訊いてみたが、もはや味もよくわからなかったとのこと。ナイーーブ。

ちなみに、店内には有名人のサイン色紙が掲げられている。そこに彼らと満面の笑みで写真に収まる店主の姿があるのだけれど、そこからここに至るまでの間に壮絶な何かがあったのかと毎度思いを馳せてしまうのは私だけだろうか。