途方に暮れなずむ

途方に暮れていたり、いなかったり。

整体ジプシー

通っていた整体院が消滅してしまってからというもの、新たな拠り所を探しているが、これが一向に定まらずふらふらしている。ご新規さま用のクーポンを使ってあちこち行ってみるのは、つまみ食いのようで楽しそうではあるが、はやくここだ!という場所にたどり着きたいのが正直なところ。

前回行ったところは、良心的な価格設定で通いやすそうではあった。初回は院長が直々に施術をしてくださったが、次回以降院長を希望するとなると、指名料3,000円が発生する(他の人は500円均一)。こうなると、一回あたりの料金がどーんと高くなってしまう。院長以外の人の技術力がわからないので、ぼんやりもう一度行ってみないと判断できないなあ、と棚に上げている次第。

つい先日行ったところは、極狭ながらも、今まで行ったどんなところよりシンプルかつ洒落た空間だった。古着屋さんなんかが入居している雑居ビルの一室で、ここは神戸か?と錯覚してしまったほど。そんな空間に飛び込んでしまった仕事あがりのへとへとのおばさんと、若いながらも一国一城の主である草食系男子のやりとりはなかなか歯車が噛み合わず、ぎくしゃく具合に少々気を揉んだ。それでも、丁寧な施術で次第にからだとともにこころも緩んだ。帰り際には、草食系男子も緊張が解けたのか、私がつけていたブローチを褒めてくれた。言われてみれば、たしかに彼の空間に馴染みそうなテイストのものだ。

私のからだは本当に厄介で、施術が終わっても凝りや張りが居座り続けるのが常だが、以前通っていた整体院で施術を受けたあとは、10分か15分ほどそれらの苦痛が消え去る時間帯がたしかに存在した(そして、私はそれをキラキラタイムと呼んでいた)。私にはもう二度とキラキラタイムは訪れないのだろうか。うっすら絶望を抱えながら、もうしばらく整体ジプシーは続くような気がしている。