途方に暮れなずむ

途方に暮れていたり、いなかったり。

困惑回遊記

かーさんから雨井さんと中くらいの人へのチョコレートが届いた。それを受け、まだまだ大丈夫、と先延ばしにしていたバレンタイン一色の百貨店へ買い物に出掛けるべく重い腰をあげた。

昔からこういったイベントは苦手である。気力体力が枯渇してしまわぬうちに、脇目も振らず催し物会場へ直行した。

うすうす気づいちゃいるが、自分というものはなかなか変わらない。今回も回遊魚の如く売り場内を移動。右を見てもチョコ、左を見てもチョコ。方向感覚を失い、顔は半分死んでいる。最初は必死だった客引きも、私が周回数を重ねるうちに「あ、この人まだまわってる」と察し顔で見守ってくれるようになる。いくつか差し出された試食用のチョコは、コロナを経て、個包装タイプになっていて、どれもおなじように見える。そして、もちろん、どれもおいしい。これがまたさらに私の困惑を助長する。どれにも等しく「おいしいですね」と感想を述べて、何周目かでようやくチョコを3つ調達した。とりあえず、ミッション・コンプリート。お客さんが群がっておらず、そこそこいいものに見える(ような気がする)もの、というのが決め手となった。←毎年これ。

 

さて、問題は雨井さんと中くらいの人。彼らはチョコで喜ばない。毎年、バレンタインにもらったチョコは、そのまま冷蔵庫に安置され年越しする。あんまりにもあんまりな時は、私が摂取する。

中くらいの人には、本人指定の(全くもってバレンタイン的ではない)お菓子をさくっと購入した。雨井さんには、下着か靴下か、と紳士雑貨売り場を物色したものの、これといったものに出会えず、再び回遊魚化。捨て鉢になって、普段立ち入らないメンズ・ビューティー的な浮かれた売り場に吸い寄せられた。結果的に、そこでオールインワン美容液?化粧水?みたいなものを買うことにしたのだが、何だかもやっとしたのでここに記しておく。

その素敵な美容液が入った素敵なパッケージを持って、店員さんにお会計をお願いしたところ「ご自宅用ですか?」と訊かれたのだ。バレンタイン一色の百貨店のメンズ・ビューティー的な浮かれた空間で。予期していなかった問いかけにしばらく固まってしまった。慌てて「いえ、プレゼントです」と答えてから、さらに遅れて頭がくるくるとまわりだした。そもそも、ご自宅用すなわち自分用という認識でよろしいのだろうか。もしや、店員さんは私を男性だと勘違いしたのではないか。いや、メンズ・コスメ好きなおばさんだと思われたか。可能性は無限大。くるくるともやもやが止まらない。決して気分を害したわけではないが、今となっては永遠の謎である。とりあえず、雨井さんがこのプレゼントを気に入ってくれたら嬉しい。かも。

 

↑中くらいの人がこよなく愛するロイズのポテトチップチョコレートの白いやつ。毎年、かーさんから贈られる。