途方に暮れなずむ

途方に暮れていたり、いなかったり。

植欲を満たす

私の地元は、大抵のものは手に入るし、特に不自由なく暮らせる場所だ。とは言え、植物を扱うお店が少ないことに関しては、少なからず寂しさを感じている。郊外の方へ足を延ばせば、庭木なんかを扱う本格的な園芸店はある。近所のスーパーの出入り口付近には、野菜の苗や仏壇に供える菊などを売ってはいる。その中間の不在が、悲しい。心躍る植物を見たいし、機会があれば買いたい。植欲を満たしたい。

そんな中、職場の同期からとあるお店の情報を得た。同期の家の近所、住宅地の中に変わった植物(同期談)をずらりと鎮座させているお店が現れたというのだ。すごくにおう、と直感的に思ったけれど、私が普段からうろちょろするエリアではないため、しばし棚上げしていた(でも、確実に気持ちは盛り上がっていた)。

そして、某月某日、ついに雨井さんがやってくるタイミングで連れて行ってもらえることになった。他の用事なんてどうでもいいぐらいわくわくそわそわしていたけれど、そこは、抑えて抑えて。カフェのようにひっそりと構えられたお店の入り口には、立派な塊根植物が!ここは本当に私の地元ですか、とクラクラしながらもしっかり堪能させてもらった。店内は、植物とアウトドア系の雑貨が半々といった感じで、私の好きな「男性店主さんの営む雑貨店」といった落ち着いた雰囲気だった。

素敵なものは、お値段も桁違いで当然ながら手は出ないが、いくつか気になるものとも出会えた。その中から、いつか欲しいと思っていたイノピナツムをお迎えすることに。塊根植物特有の珍妙さと、色白でデリケートな印象が相まって、なんだかちょっとおかしい。いや、ミステリアス。高山性で少々気難しいと言われるイノピナツム。うちの環境を気に入ってもらえるだろうか。

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↑中央に鎮座するイノピナツム。剛毛の佐清に見えなくもない。